「すき間」思考・エネルギーの流れで考えるコーチング

決断コーチの、井上由紀です。

誰かとコミュニケーションをして
関係性を築くことは、
仕事であってもプライベートであっても
大切だと思います。

よい関係性を築けるかどうかで
プロジェクトの進み具合や
人生の幸福度も大きく変わってきます。

今日は、そんな関係性を築くための
「聞き方」「話し方」について、
エネルギー作用の観点から考察してみます。

エネルギーは「すき間」に流れる

手で水をすくうと
指と指のすき間から、水がこぼれます。

家を暖房で温めても
窓やドアにすき間が空いていると
暖かい空気は外へ逃げてしまいます。

電池は、マイナス極から
電子が浮き立つすき間のおかげで
電流が起こります。

つまり、エネルギーには
「すき間があるとそこに向かって流れる」
という万物の性質があるのです。

この普遍的なルールを
コーチングに活かすとすると、
どんなことが考えられるでしょうか?

相手を活性化するアクティブな聞き方

コーチングは「クライアントファースト」。

・何を話したいか
・どうしたいか
・次に、どうするか

全て、クライアントに決定権があります。

なので、スタートはいつも
相手の言いたいことを「聞く」。

「聞く」というと「傾聴」が有名ですが、
コーチングでは「傾聴」というよりも
「アクティブ・リスニング」が大切です。

アクティブ=能動的な
リスニング=聞くこと

なので、ただじっと聞くというより
こちらから適宜働きかけながら
積極的に情報※を引き出していく、
というイメージになります。

※ここで言う「情報」は
エネルギーレベルや感情なども含め
クライアントとコーチが認識できる
すべての要素を指しています。

また、限られた時間を有効に使うため
時間管理も必要になってきます。

コーチはそんな意識をもって
クライアントさんに向き合うため、
事前にある程度の「型」を用意することも多いです。

そして、この「型」は
確かに効果的な面が多々あります。

一方で、型どおりにやったはずなのに
満足してもらえないこともあるんです。

それどころか、以降
「コーチングって苦手…」と
トラウマを負わせてしまうことも。

そんなケースをいくつか見てきましたが
これは「アクティブ」の意味が

「コーチが牽引する」

という意味合いになっているからかな?
と思います。

しかし、本意は

「クライアントを最も活性化する」

なんじゃないか。

クライアントは本音を言わない…かも

コーチングのシーンでよくあるのが
事前に流れを想定し、テンプレ(型)を用意する。

最初〇分でこれ、次にこれ、
後半これとこれで締めくくりはこれ。

わたし自身も活用しますが、
例えばセッションの最後に
次の日時設定をするとか、
大事な点の漏れを防ぐのに重宝します。

また、時間はみなさんにとって
貴重なものですから、
それを無駄にしないよう時間管理をするのに
目安を用意しておくととても有効です。

そんなメリットも多いテンプレですが、
その型に囚われ過ぎると
肝心の「クライアントの話を聞く」ことが
おろそかになるリスクがあります。

クライアントが何か言いかけていたり
言葉と表情に違和感があるにもかかわらず、
時間なので「じゃあ、次は何をやりますか?」
などとまとめに入ってしまったりするわけです。

こうなると、クライアントは
「モヤモヤに蓋をされた」
「目標を立てさせられた」
といった思いを持ってしまいます。

多くの人は、そこで何も言わず
「ありがとうございました」
と言ってセッションを終えますが、
本音では

「全然、意味ないじゃん」

と思っていたりするのです…

また、コーチングという建前で
実際は「ティーチング」をやる人も結構います。

コーチングとコンサルの違いについては
こちらの記事でも話しています。

もちろん、状況に応じて
「ティーチング」も必要なのですが、
教え方の下手な人というのは
教わっている人の気持ちを

「〇〇させられている」

という他人軸にしてしまいます。
強制されている、という感覚です。

一方、教え方の上手い人というのは
教えてもらっている人が

「〇〇しよう、したい」

と、自分軸になります。
やらされ感ではなく、
自分がやりたいからやるんだ、という
自己選択・自己実現の意識になります。

相手の自主性を伸ばす
コーチングスキルが高いのです。

そんな関わり方を
「クライアントを活性化する」
という風に、ここでは表現しています。

そして、そのカギになるのが
「聞き方」「話し方」です。

「お腹いっぱい」では停滞するだけ

コーチングの理念は「クライアント中心」。
でも、それが「コーチ中心」になると
クライアントは「もういいよ」と嫌気がさします。

あるいは、コーチに引っ張られると楽なので
「依存」が起こってしまい、
クライアントがますます、自分では
何も決められなくなってしまいます。

いずれの場合でも、エネルギー的に見て
何が起こっているかというと、
クライアントの中にコーチからの情報が
ギュウギュウに押し込まれているわけです。

しかし、すでに自分の思いや考えが
一杯詰まっているクライアントさんの場合、
ギューギュー押されても受け入れられずに
「押し合いへし合い」が起こります。

そこで、どうしたらいいかというと
コーチが「すき間」を作ってあげればいいのです。

例えば、コーチが
ちょっと自分の話を止めて、相手に
考えたり話したりするスペースを作ってあげます。

そうすると、クライアントさんが
モヤモヤッと抱えていたものが
ドドッと流れ出してくるわけです。

これが「相手から引き出す」です。

すき間をわざと作ることで、
相手の中にあるものを
外側に流れるように仕向けるわけです。

クライアントさんの中が
どれくらい「いっぱい」なのかに応じて
適切な言動を投げると効果的。

お腹いっぱいの人に
良かれと思ってもっと食べろと勧めても
ありがた迷惑になるのと同じ原理ですね。

お腹いっぱいの人が、次に必要なのは
「出すべきものは出してスッキリ」
そうすることで流れが起こり、よい循環が始まります。

挑戦の質問・確認の質問

よく「質問は、思考にスペースを空ける」
ということが言われますが、
コーチングでも質問をすることによって
相手の発想を広げることをよくやります。

例えば

「今日、何種類の食品を食べましたか?」

と質問されると、
単に「何を食べたか」だけではなく
材料は何だったか、一つ一つ
振り返ることになると思います。

そうやって状況を丁寧に見てみた時
「あんまりバラエティーが無いなあ」
「やたらと炭水化物が多いぞ」
などと、新たな気づきが生まれたりします。

また、〇〇がやりたいと言った時に
「本当に?」「何%実現できそう?」
などとさらに突っ込むことで
イメージややる気を刺激することもあります。

これらは、その人の現在の思考や認識を
さらに広げたり強めたりする「挑戦の質問」です。

一方で、「確認の質問」もあります。

例えば、最初に話したいと言ったテーマと
話の流れがズレてきた場合に

「最初〇〇について
話したいということだったけれど、
今××の話をしていますね。
どうしますか?このまま続ける?」

ほかにも

「〇〇だと理解したけれど、それで合っていますか?」
「こんなペースで大丈夫?」
「共有するゴールについて、確認させてもらえますか?」

など、クライアントとの間に
認識のずれが無いかを確認し、
お互いの同意を取る
のが「確認の質問」です。

「確認の質問」は、
クライアントの挑戦を促す前提となる
信頼感や安心感を高めるために有効です。

「コーチ劇場」を参加型にせよ

特に「ティーチング」要素が強い方に
見られがちな傾向なのですが、

「相手が、自分の話を理解しているか?」
「自分の話は相手が聞きたい内容か?」

この確認をしないまま、
どんどん話を進めてしまう。

これは、セールスの場などでも見られます。

お店で、ある商品について質問したら
そんなこと聞いていないよ、ということまで
長々と話す店員さんはいませんか?

もちろん、あなたに時間がたっぷりあって
偶然の出来事を全て楽しむマインドを持ち、
その店員の話が本当に面白かったなら

「思いがけず、面白い経験をした!」

となるかもしれません。

しかし、そうでなければ
「そんなこと、どうでもいいよ」
「こっちの話を聞けよ」

と、店員へのいら立ちが募るでしょう。

コーチングの際にも、似たようなことが
起こっていたりします。

コーチが、クライアントを置いてけぼりにして
自分の言いたいことを言ってしまっている
「コーチ劇場」です。

この問題を解決するにも
「すき間」思考が使えます。

ライブパフォーマンスでも
お客さんにマイクを向けて
キャッチ―な部分を
歌ってもらったりしますよね?

あれです。

「はい、どうぞー!」

とマイクを向けてあげることで
その人が主役になる。
それを、コーチがしっかりやることで
クライアント主役の参加型劇場になります。

コーチがクライアントに「マイク」を向ける
これが「確認と同意」です。

「どう?楽しめてる?」
「わたしたち、ちゃんと一緒に会話に乗れてる?」

ここを問いかけた後、
耳を澄ませる「すき間」を作ります。

そうすると、問いかけられた相手から
自然と「イェーイ!」という掛け声は無くても
「意識」が返ってくるはず。

また、ノリノリなクライアントの場合は
「クライアント劇場」になっていることもあります。

そういう場合も、コーチが合いの手を入れて
「わたしたち、一体になってる?」
と呼びかけると効果的です。

イメージとしては、こんな感じでしょうか。

せっかく二人が対面するのですから
共同劇場の方が盛り上がるし、
クライアントがより活性化してくれるのでは
ないかと思います。

「すき間」を作る=流れを作る

例えば、オリエンテーションやセミナーなど
情報を説明したり、教える場合なら

「ここまで、いいですか?」
「何か質問はないですか?」

あるいは

「難しすぎますか?」
「簡単すぎますか?」

そういったやり取りがあると
相手がよく理解できていないのに
延々と話し続けてしまったり、

相手がすでによく知っていることを
くどくどと話して時間を無駄にしたり、
飽きられてしまうことも防げます。

「話が長い、つまらない」

という人は、だいたい
こういった「確認の質問」をしていません。

自分劇場になってしまっていて、
オーディエンスが参加していないのです。

ドキッとした人は、ぜひ
「すき間」を意識してみましょう。

あなたが話しかけている
クライアントやお客様やパートナーの
「意識」はエネルギーです。

エネルギーは、すき間があると
そこに向かって流れます。

何かを伝えようとする際に
相手は「お腹いっぱい」状態ではないですか?

もしそうなら、どうやったら
すき間を作ってあげられるでしょうか?

何かを聞き出したい時に
「自分が聞きたい」
質問攻めにしていませんか?

相手は同じ土俵にいるでしょうか?
置いてけぼりだと感じていませんか?

会話の流れをリードしようとして
テンプレに囚われていませんか?

頭の中が
「こうしなければいけない」
「次はこうして、こうしよう」
「もしこうなったら、こうしよう」
など、義務感や戦略で一杯になっていませんか?

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なんて言っているわたし自身、まだまだです。
「すき間」とエネルギーの流れを意識しながら
これからも精進していきたいと思います。


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