決断コーチの、井上由紀です。
「決断コーチ」と名乗っていると
よく勘違いされることがあります。
それは、わたしにコーチングを頼めば
決断「できるようにしてくれる」
という(無意識の?)思い。
これ、翻訳すると
「自分のために決断してくれる人が欲しいんです」
ということです。
しかし、それではコーチではなく
答えを教える先生や指導者、ご意見番になります。
ビジネスをやっている人なら、
それは経営者や株主の仕事になります。
では「決断コーチ」は何をしてくれるのよ?
という話なのですが、それは
「あなたが自分で決断する能力を、一緒に開発する」
ということになります。
そもそも、なぜ「決断」?
コーチとは、一般的に
【何らかの目的地に到達したい人を
その目的地までより早く、楽に
到達できるようにサポートする人】
と理解されています。
つまりコーチングは「ゴールありき」。
「半年後、どうなっていたいですか」
「そのために、今できることは何ですか?」
「いつまでに、やりますか?」
なんて質問でゴールを具体化し
それに向けた行動を促すのは、
コーチングのシーンでよく見られる
定番中の定番です。
・目的(ゴール)をはっきりさせて
・それに向かって行動できるよう
・あの手この手でサポート
これが、コーチの役目。
そこからいろんなコーチが
いろんなスタイルでコーチングしますが、
大きく分けて二つのタイプがあるように思います。
一つ目は「ゴール達成型」。
クライアントが目指したいゴールを
達成させることが得意、というコーチです。
特徴は、クライアントのゴールが
目標数値の達成とか、試験に合格するとか
具体的で分かりやすい、という点。
スポーツのコーチングや
上司が部下に行うコーチング、
英語やダイエットコーチには
このタイプが多いです。
(注:ここでは便宜上、コーチングを受ける人をクライアントとします)
もう一つが「エグゼクティブ型」。
重要な決定をする立場にある人が
さまざまな決定をしていく過程を
一緒に考えるパートナーになります。
「決断コーチング」は
エグゼクティブ・コーチングに当たります。
エグゼクティブ・コーチングというと
会社のCEOや経営者相手という印象ですが、
決断コーチングは職種や肩書に関係なく
「絶対的な正解のない状況で」
「重要な決定をする立場にある人」
すべてが対象です。
起業や転職の相談に乗ることも、
子供や家族の在り方について
会話を通し一緒に考えることも、
決断コーチングなのです。
その人にとって重要なテーマに基づき
会話を通して関わりながら、
一緒に、最善の対応を考えていきます。
そこでは、具体的に決めたゴールを
達成したかどうか以上に、
そのプロセスで当人が、どれだけ成長・納得できているか
という点を重視します。
それはなぜか?
わたしなりの答えになりますが、
それは「生きる(人生)ことの最終ゴール」を
方向性として、最初に想定しているから。
そして、その最終ゴールとは
「自分というものを最大限に活かす(生かす)」
ことだと考えるからです。
その原則に基づくならば、
決めたゴールを達成したかどうか以上に
自分の能力をいかに開発・活用できたかという
「自己満足度」が、成功の指標となります。
この開発と活用のプロセスは
当たり前ですが、スタートしなければ始まりません。
正確には、スタートすると「決める」ことが
全ての始まりです。
決められなければ、何も始まらない。
でも、決めることがなかなかできない。
そこで、決断コーチの出番です!
そして、決断コーチに大切なのが
「プレゼンス」なのです。
プレゼンスとは何か
プレゼンスという言葉は
ラテン語のpræesse
prae – ”before” 前に
esse – “to be” ある、いる
が語源。
目の前に差し出される贈り物の意である
「プレゼント」も、同じ語源から来ています。
ただし、単にコーチが
クライアントの前に現れれば
それでプレゼンスかというと、
そういう訳ではありません。
プレゼンスとは、その人が纏う「特定の雰囲気」。
特に、相手に一目置かれるような
人間力を感じさせる存在感です。
緊張と安心
あなたは「存在感のある人」と聞いて
どんな人を思い浮かべるでしょうか。
自信があって、堂々としている人、
周囲から頼りにされている人、
圧倒的な技術を持っている人、など
いろいろあるかと思います。
では、あなたが自分の成長を
10倍加速させたいと思った時には、
どんな人が傍にいてくれるといいですか?
あなたの言うことを一切否定せず
ひたすらジックリ聞いてくれ
「そのままでいいよ!」
と、いつも肯定してくれる人でしょうか?
それとも、知識と経験が豊富で
「それじゃダメ」「もっとこうして」
と、どんどん指摘・指導してくれる人?
どちらもあなたの成長の
助けにはなりそうですが、
10倍加速を目指すとしたら
「どっちも欲しい」と思いませんか。
効果的な筋トレをするためには
緊張と緩和の両方が必要です。
人間の成長も同じで、
緊張と緩和がバランスよくあってこそ
効果的に結果につながっていきます。
最近「心理的安心性」ということが
よく言われたりしますが、
これは人が緊張だけでは能力を
発揮できないと分かってきたからです。
人は本質的に、自分の弱みや
盲点に対し率直な意見をもらうと、
自分の正当性に危機感を感じるものです。
「耳が痛い」「グサッと来る」など
まさに心に痛みも伴うことが多いので、
そこには緊張が生まれます。
その緊張は、成長のためには
必要なプレッシャーとも言えます。
が、批判的なことばかり言われ
自己肯定感が低くなってしまうと、
筋トレで無理し過ぎて負傷するように
人のこころもつぶれてしまいます。
なので、自分のことを否定せず
受け止めてもらえるという
心理的な安心・安全も必要なのです。
さて、ようやく話は
「プレゼンス」に戻ります。
よりよい未来のために
自分にとって重大な決断ごとを
相談したい、と思える人。
関わることで、今の自分の成長が
加速するだろう、という人。
決断コーチはクライアントの「決断」を促し
行動をサポートする存在。
なので、クライアントに大いなる安心感と
適度な緊張感を感じさせる空気感が
決断コーチとして望ましいプレゼンスだと
わたしは思っています。
まとめ:プレゼンスとは何か?
ということで、今回は
「プレゼンスって何?」ということについて
考えてみました。
プレゼンスとは、その人が醸し出す
雰囲気・空気感、とくに
相手に影響を与える存在感のことです。
そして、相手の決断を支える
決断コーチとしては、
「大いなる安心感+適度な緊張」
を目指したいところです。
次回は、そのプレゼンスを高めるとは
どういうことか?
どうやって高めるのか?
といったことについて、考えてみます。
お楽しみに~!
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